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中国×日本 比較文化シリーズ【第19回】言語そのものの違い

 中国×日本 比較文化シリーズ【第19回】言語そのものの違い:同じ漢字、違う意味、複雑な関係

大家好、みなさん、こんにちは!

 

シリーズもいよいよ終盤です。今回は私たち中国語講師が最も情熱を注ぐテーマ、「言語そのもの」についてです。

 

同じ漢字を使う中国と日本、でもコミュニケーションできない。この不思議な関係を解き明かします。


 「看得懂、説不通」:筆談の限界

中国人と日本人が初めて出会うと、よくこんな経験をします:

筆談の奇跡と限界:

- 「你好」「谢谢」など簡単な漢字は通じる

- 「駅」「病院」「電話」など日常語も読める

- でも会話は全く通じない

- 「看得懂,说不通(読めるけど話せない)」

 

これは世界でも珍しい現象です。アルファベットを使う言語同士より近いのに、音声言語としては完全に別物。この「近くて遠い関係」が中国語学習の面白さでもあり、難しさでもあります。

 「汉字」の運命の分岐点

中国と日本の言語が分かれたのは、漢字の扱い方が違うからです。

中国:簡体字への道

- 1950年代に「简体字(ジエンティーヅー/簡体字)」を制定

- 複雑な漢字を簡略化(例:電→电、學→学、國→国)

- 識字率向上のための政策

- 音声言語と文字が一致(一つの漢字に一つの読み)

- 漢字だけで全てを表現

 

日本:漢字+仮名の独自進化

- 漢字を輸入後、「ひらがな」「カタカナ」を発明

- 音読み・訓読みの複数の読み方

- 漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字を混在使用

- 「漢字を減らさない」選択

- 世界で最も複雑な文字体系の一つ

 

この分岐点が、両言語の決定的な違いを生みました。

 「同形異义词」:同じ漢字、全く違う意味

日本人が中国語学習で最も混乱するのが「同形異義語」です。

要注意!意味が違う漢字:

| 中国語 | 意味 | 日本語の意味 |

| 手纸 | トイレットペーパー | 手紙 |

| 汽车 | 自動車 | 汽車(蒸気機関車) |

| 娘 | 母親 | 娘 |

| 爱人 | 配偶者(夫・妻) | 愛人(不倫相手) |

| 勉强 | 無理やり、しぶしぶ | 勉強する |

| 大丈夫 | 男らしい男性 | 大丈夫(問題ない) |

| 老婆 | 妻 | おばあさん |

| 怪我 | 自分を責める | ケガ |

 

中国で「手纸ください」と言うと、トイレットペーパーが出てきます。

 

日本で「老婆が…」と言うと、誤解されます。

 

見た目は同じ、中身は別物。これが最大の罠です。

 「和制汉语」:日本生まれの漢字語

実は現代中国語の多くの専門用語は日本から輸入されたものです。

日本から中国に入った言葉:

- 科学、哲学、経済、社会、革命

- 電話、電車、銀行、会社、株式

- 民主、自由、権利、義務

- 芸術、美術、文学、小説

- スポーツ、野球、サッカー

 

明治時代、日本が西洋の概念を漢字で翻訳し、それが中国に「逆輸入」されたのです。中国人はこれを「和制汉语(ワーヂーハンユー/和製漢語)」と呼びます。

 

一般的によく言われている説ですが、驚くことに、現代中国語の社会科学用語の70%以上が日本由来と言われています。

 

 「声调」:四声という高い壁

日本人が中国語学習で最も苦労するのが「声调(シェンディアオ/声調)」、いわゆる四声です。

四声の難しさ:

- 第一声(ā) - 高く平らに

- 第二声(á) - 低から高へ上がる

- 第三声(ǎ) - 低く抑えて少し上がる

- 第四声(à) - 高から低へ下がる

- 声調が違うと全く別の意味になる

 

有名な例:

- 妈(mā) - 母

- 麻(má) - 麻

- 马(mǎ) - 馬

- 骂(mà) - 罵る

 

「我要买一匹马(馬を買いたい)」が、声調を間違えると「我要买一匹妈(母を買いたい)」になってしまいます!

 

日本語は「高低アクセント」はありますが、意味が変わるほど厳密ではありません。この違いが日本人にとって最大の難関です。

 

 「敬语」:尊敬表現の違い

日本語:世界最複雑な敬語体系

日本語の敬語は外国人泣かせです:

 

- 尊敬語、謙譲語、丁寧語の使い分け

- 「行く」一つでも:行く、行きます、いらっしゃる、参る、伺う…

- 相手との関係で言葉が変わる

- 敬語を間違えると失礼

- 「です・ます」「である」「タメ口」の使い分け

 

中国語:比較的シンプル

中国語の敬語はもっとシンプルです:

- 「您(ニン)」 - 「你」の丁寧版

- 「请(チン)」 - 「どうぞ」「〜してください」

- 職場では役職で呼ぶ(王经理、李总など)

- 年上には「老」をつける(老王、老李)

- 文法的な敬語変化は少ない

 

中国語学習者にとって「敬語が簡単」は大きな救いです。逆に中国人が日本語を学ぶと、敬語で挫折することが多いのです。

 

 「外来语」:カタカナという便利な道具

日本:カタカナで何でも吸収

日本語の特徴がカタカナによる外来語吸収です:

 

- コンピュータ、スマートフォン、インターネット

- コーヒー、レストラン、ホテル

- 音を真似するだけで取り込める

- 新しい概念を素早く導入

- カタカナ語が氾濫しすぎという批判も

 

中国:漢字で翻訳する努力

中国語は外来語も漢字で表現します:

- 電脳(コンピュータ)、因特网(インターネット)

- 咖啡(コーヒー)、餐厅(レストラン)

- 音訳:可口可乐(コカコーラ)、星巴克(スターバックス)

- 意訳:篮球(バスケットボール=籠の球)

- 音と意味の組み合わせ:巧克力(チョコレート、「巧」は上手い意味)

 

中国の翻訳センスは見事です。「可口可乐」は「口に美味しく楽しい」という意味も含んでいます。

 「语法」:文法の根本的違い

語順の違い:

中国語と日本語は語順が逆です:

 

- 中国語(SVO):我 吃 饭(私は 食べる ご飯を)

- 日本語(SOV):私は ご飯を 食べる

 

この違いは単なる順番の問題ではなく、思考パターンの違いを反映しています。

 

動詞の活用:

- 中国語:動詞は変化しない。「吃」はいつでも「吃」

- 日本語:動詞が活用する。「食べる、食べます、食べた、食べない、食べれば…」

 

日本語学習者の中国人は「なぜこんなに変化するの!」と嘆きます。

 

助詞の有無:

- 日本語:「は」「が」「を」「に」など助詞が重要

- 中国語:日本語のような『は』『が』『を』といった格助詞はなく、語順と独自の助詞(了、着、过、的、吗など)で意味を表現

 

この違いが、互いの言語学習を難しくしています。

 

 「网络用语」:ネットスラングの進化

現代の言語はネットで急速に進化しています。

中国のネットスラング:

- 666(liù liù liù) - すごい!(6の発音「溜」が「上手い」に似ている)

- yyds(永远的神) - 永遠の神、最高

- 绝绝子(juéjuézi) - めっちゃすごい

- emo了 - 落ち込んでる(emotionalから)

- 躺平(tǎngpíng) - 寝そべり、諦め

- 内卷(nèijuǎn) - 過当競争


日本のネットスラング:

- 草(笑いの意味、wwwから)

- やばい(良い意味でも悪い意味でも)

- エモい(emotionalから)

- 尊い(すばらしい)

- 沼(ハマること)

 

両国とも若者言葉は急速に変化し、親世代は理解できません。

 

 「方言」:多様性の度合い

中国:方言は別言語レベル

中国の方言差は驚異的です:

 

- 北京語と広東語は全く通じない

- 上海語、福建語、客家語…それぞれ別言語

- 「普通话(標準語)」の普及で統一

- でも家庭では方言

- 映画やドラマには字幕が必要なことも

 

日本:方言でも何とか通じる

日本の方言はマイルドです:

 

- 津軽弁、大阪弁、博多弁など

- 標準語話者でも何とか理解できる

- 文法は共通、発音と語彙が違う程度

- テレビの影響で標準語化が進行

- 方言の消滅が文化的損失と心配される

 

中国の方言の多様性は、日本の比ではありません。

 

 学習者へのアドバイス:「不要怕错」

中国語学習で最も大切なのは「不要怕错(ブヤオパーツオ/間違いを恐れるな)」です。 

日本人学習者の特徴:

- 完璧主義で間違いを恐れる

- 文法が正確だけど話せない

- 「正しい中国語」を追求しすぎ

- 発音が完璧になるまで話さない

 

中国人の学習スタイル:

- とにかく話す

- 間違えても気にしない

- コミュニケーション優先

- 「伝われば良い」という実用主義

 

私からのアドバイス:もっと気楽に、どんどん話してください! 

 

声調が少し違っても、文法が間違っていても、相手は理解しようとしてくれます。

 

完璧な中国語より、コミュニケーションする勇気が大切です。

 

 言語学習のヒント

言語そのものについての中国語表現です!

 

中国語の言語関連表現:


- 普通话 (pǔtōnghuà) - 標準中国語

- 方言 (fāngyán) - 方言

- 声调 (shēngdiào) - 声調

- 发音 (fāyīn) - 発音

- 语法 (yǔfǎ) - 文法

- 汉字 (hànzì) - 漢字

- 生词 (shēngcí) - 新出単語

- 怎么说?(zěnme shuō) - なんて言うの?

- 听不懂 (tīng bù dǒng) - 聞き取れない

- 再说一遍 (zài shuō yī biàn) - もう一度言って

- 慢一点说 (màn yīdiǎn shuō) - ゆっくり話して

- 我在学中文 (wǒ zài xué zhōngwén) - 中国語を勉強しています

 

 まとめ

中国語と日本語は、「同じ漢字文化圏」という共通点を持ちながら、音声、文法、思考パターンが全く異なる不思議な関係です。

 

同じ漢字を見て「わかった気になる」のが最大の罠。でもその罠があるからこそ、学習の入り口が低く、親しみやすいのです。

 

「看得懂,说不通」から「看得懂,也能说」(読めるし、話せる)へ。その旅路は決して平坦ではありません。四声に苦しみ、同形異義語に騙され、語順に混乱する。でもその先には、14億人とコミュニケーションできる喜びが待っています。

 

言語は文化への扉です。中国語を学ぶことは、中国という巨大で多様で矛盾に満ちた、でも魅力的な世界への旅なのです。

 

【今日の中国語フレーズ】

 

- 我想学好中文 (wǒ xiǎng xué hǎo zhōngwén) - 中国語を上達させたい

- 请多多指教 (qǐng duōduō zhǐjiào) - よろしくお願いします

- 谢谢你的帮助 (xièxie nǐ de bāngzhù) - 助けてくれてありがとう

 

【シリーズ総括】

第1回の「ありがとう」から第19回の「言語そのもの」まで、中国と日本の文化的違いを探ってきました。

 

すべてのテーマに共通するのは:

1. 違いは優劣ではなく、多様性

2. 背景を知れば、理解できる

3. 相手の文化を尊重することが、真の国際理解

 

中国語教室の講師として、皆さんに伝えたいのは、言語は単なるツールではなく、文化への入り口だということ。

 

このシリーズが、皆さんの中国語学習と異文化理解の助けになれば、これ以上の喜びはありません。

 

加油!(ジャーヨウ/頑張って!)