感動と実践!中国語習得の理想的な道。充実のオンラインプログラムで自分に合った学習を。熱心な講師による丁寧な対面レッスン。さらに京都の名所旧跡を巡るツアーで生きた中国語を体験。学びの新たな旅へ。
  1. ブログ
  2. 京都五山送り火:日中文化の交差点で紐解く、鎮魂の祈り
 

京都五山送り火:日中文化の交差点で紐解く、鎮魂の祈り

 京都五山送り火:日中文化の交差点で紐解く、鎮魂の祈り

みなさん、こんにちは。 大家好!


今日の京都は、旧暦のお盆の最終日を迎え、特別な静けさに包まれているように感じます。


そして、今年のお盆の締めくくりとして、今夜、五つの山に炎が灯ります。


京都の夏の風物詩、五山送り火の日です。


この五山送り火について紹介する前に、まずは日本のお盆について少し掘り下げてみましょう。


よく中国の「中元節」と似ていると言われますが、その根源と意味合いには、実は深い違いがあるのです。

 

お盆と中元節、そのルーツと心持ち


お盆と中元節の違いをより深く理解するため、中国の「中元節」について解説します。 

  • 中国の「中元節」とは?

中国の旧暦7月15日は、道教の「三元」という思想に基づく「地官大帝」の誕生日とされています。


この地官大帝は、地獄の帝でもあることから、この日は「罪を赦す日」とされ、死者の罪も許されると信じられていました。


この道教の思想と、仏教の「盂蘭盆節」の供養の概念が結びつき、「中元節」が形成されました。


旧暦7月は、俗に「鬼月」(幽霊の月)と呼ばれ、地獄の門が開いて、行き場のない餓鬼や無縁仏がこの世にやってくると考えられています。


そのため、中元節は、これらの霊を供養し、悪さをしないように鎮めるための重要な日となっています。


日本のお盆が、家族の先祖を迎える「家庭単位」の行事であるのに対し、中国の中元節は、「孤魂野鬼」(供養されない霊)をも含めて、広く供養することが特徴です。

 

  • 中元節の風習と食べ物

中元節には、各地でさまざまな風習が見られます。


普渡(普度): 各家庭や商店の軒先に、大量の供え物を並べ、線香を焚いて霊を供養します。


これは「中元普渡」と呼ばれ、全ての衆生を救済するという意味合いが込められています。


紙銭を燃やす: あの世で使えるお金として、紙で作られたお金(紙銭)を燃やして、霊に送ります。


燈籠流し: 水をさまよう霊のために、水燈籠を流して道を示し、迷わずあの世へ帰れるように祈ります。これは日本の精霊流しに似た風習です。


また、中元節の期間中は、霊がこの世をさまよっていると考えられているため、結婚式や引っ越し、旅行といったおめでたい行事は避けるのが一般的です。夜の外出や口笛を吹くこともタブーとされています。


 お盆と中元節の違い

このように中国の「中元節」が、道教の思想と仏教の「盂蘭盆節」が融合し、餓鬼道に堕ちた霊を供養し、災いを避ける意味合いが強いのに対し、日本の「お盆」は、古来の日本に伝わる「祖霊信仰」が深く結びついています。


 中国的“中元节”更注重祭祀孤魂野鬼,而日本的“盂兰盆节”则更强调迎接和供养自家的祖先。


 ピンイン: Zhōngguó de "Zhōngyuánjié" gèng zhùzhòng jìsì gūhún-yěguǐ, ér Rìběn de "Yúlánpénjié" zé gèng qiángdiào yíngjiē hé gōngyǎng zìjiā de zǔxiān.


 訳文: 中国の「中元節」は、より強く行き場のない霊を供養することに焦点を当てますが、日本のお盆は、自分たちの先祖を迎え入れ、供養することをより重視します。


つまり、日本のお盆は、仏教の「盂蘭盆会」と、日本独自の信仰が結びついた産物なのです。



 日本的盂兰盆节是佛教的“盂兰盆会”与日本传统的“祖灵信仰”相结合的产物。


 ピンイン: Rìběn de Yúlánpénjié shì Fójiào de "Yúlánpén huì" yǔ Rìběn chuántǒng de "zǔlíng xìnyǎng" xiāng jiéhé de chǎnwù.


 訳文: 日本のお盆は、仏教の「盂蘭盆会」と、日本の伝統的な「祖霊信仰」が結びついてできたものです。


このように、日本の「お盆」が家族の再会と感謝の気持ちを育む温かい行事であるのに対し、中国の「中元節」は、より広い範囲の霊を鎮めるための、厳粛で、どこか畏怖の念を伴う行事のようです。


これらの違いは、それぞれの国の歴史や信仰が、同じ仏教文化をどのように取り入れて発展させてきたかを示す、興味深い文化的な側面と言えるでしょう。


 迎え火から送り火へ、魂の道標

ご存じのように、お盆の始まりには、ご先祖様が道に迷わないよう、家や墓地の前で「迎え火」を焚く風習があります。夏の夜に揺らめく小さな炎は、遠い世界から帰ってくる魂を優しく招き入れる道標となります。


それは、静寂の中にも、温かなぬくもりを感じさせる大切な儀式です。


そして本日8月16日は、迎え入れたご先祖様の魂をあの世へとお見送りする「送り火」の日。


特に京都では、街を取り囲む五つの山に巨大な送り火が灯され、その光景は見る者の心を揺さぶります。


 对日本人来说,盂兰盆节是一个充满了怀念与温情的节日,是与逝去的家人再次相聚的宝贵时光。


 ピンイン: Duì Rìběn rén lái shuō, Yúlánpénjié shì yígè chōngmǎnle huáiniàn yǔ wēnqíng de jiérì, shì yǔ shìqù de jiārén zàicì xiāngjù de bǎoguì shíguāng.


 訳文: 日本人にとって、お盆は懐かしさと温かい気持ちに満ちた祝日で、亡くなった家族と再び会える大切な時間です。

 

五山送り火、鎮魂の光が夜空に灯る

今夜、東山に「大文字」、松ヶ崎に「妙法」、西賀茂に「船形」、大北山に「左大文字」、そして嵯峨に「鳥居形」の五つの送り火が、夜空に神々しく浮かび上がります。


多くの人々が静かにその光景を見守ります。

夜空に「大」の文字が、「妙法」の文字が、そして舟や鳥居の形が、はっきりとその姿を現します。それは、単なる祭りの賑わいではなく、悠久の時を経て受け継がれてきた、祈りの形かもしれません。


この神聖な火は、ご先祖様の魂を送り出す道標であると同時に、私たちの心の中にある感謝や、大切な人を思う気持ちを、静かに灯してくれます。


五山送り火は、単なる伝統行事ではなく、日本人の祖先への敬意と、家族の絆を大切にする心が、形になったものです。


夏の終わりを告げるこの送り火は、今夜もまた、人々の心に深く刻まれていくことでしょう。